フランス軍の装備更新が次々と進行中
新サイドアームにGLOCK17 Gen5が選ばれる
昨日、フランス軍の新スナイパーライフル(おそらくマークスマンライフル:DMRと思われる)としてFN Herstal社のSCAR-H PRが選定されたことをお伝えしたが、ほぼ時を同じくして新サイドアームの発表も行われた。
フランス軍備調達機関DGA(DirectionGénéralede l’Armement)によって発表されたフランス軍のサービスピストルは「GLOCK17 Gen5」で、既に74,596挺の発注がなされ2019年末からデリバリーが始まり、2022年までには全ての納入を完了させる予定だという。
フランス軍はこれまで、9mmのサイドアームには自国製のMAC50ピストルやベレッタ92を自国でライセンス製造したPAMAS G1などを使用している。MAC50は既に最終ロットの生産から40年が経っているため、今回のGLOCK17の発注はこれらのハンドガンからのリプレイスを図る目的があるとみられるが、PAMAS G1については2002年に97,502挺もの納入がされており、GLOCK17 Gen5の発注数を見るに今後はPAMAS G1との併用がしばらく続くものと予想される。
なお、GLOCK17についてはGen3モデルが一部の特殊部隊で既に使用されているようで、フランス軍としては初のグロックの採用ではない。
フランス軍向けGLOCK17 Gen5の仕様は?
今回DGAが発注したフランス軍用GLOCK17はスライド、コントロール類をブラック、フレームをダークアースとしたGen5モデルとなる。最近同じくGLOCK17を制式採用したポルトガル軍ではトリチウムのナイトサイトを採用していたが、フランス軍ではU字型の発光サイトを採用。他にもピストルランヤードが標準装備となる。
また、フランス軍が公開した写真や動画には特殊部隊向けにMOSモデルが採用され、サイレンサーが取り付けられるタクティカルバレルのGLOCK17が確認できる。全74,596挺分ではないものの、ナイトサイトやサイレンサーなども多数発注されていて、一部は特殊部隊用のキットとして納入されるようである。
ホルスターについても選定されており、ポリマー製ホルスターで有名なBLACKHAWK社製のT-SERIES L3Dホルスターのダークアースモデルが採用されている。
この他にもGLOCK17に関してはトレーニングキットとしてアメリカのUTM社との連携も発表しており、GLOCK17T Gen5 UTMが供給される。UTMはスライドを入れ替えてトレーニング弾用へと切り替えるブランクキットも存在するが、今回フランス軍に納入されるのはトレーニングモデルとしての専用の完成品となるようだ。
早急に進むフランス軍の武器更新に兵士の技術を合わせるべく、訓練も見据えたトータル的なシステムが導入される。
今回DGAより発表された新スナイパーライフル「SCAR-H PR」、新ハンドガン「GLOCK17 Gen5」以外にもフランス軍では各種兵装の更新が進んでおり、2020年代はフランス軍にとって歩兵装備を現代的なものへと刷新する大きな節目となりそうだ。
・2017年より標準アサルトライフルをHK416Fへと更新中。2020年は12,000挺が納入予定。
・新型迷彩服「F3」85,000着の納入の継続中。
・新型9mm防弾ヘルメットの更新。2020年は25,000個が納入予定。
・2018年より新世代防弾ベストへと更新。既に37,000着が納入済み。2025年までに96,800着が納入予定。